『失敗が怖くて行動に移せない』
『どうせうまくいかないから、このままでいいや』
『失敗することなく、物事をうまく進めたい』
という風に思っている方多いと思います。
実は、失敗を恐れる必要は全くなく、失敗にはメリットがたくさんあるのです。
ということで本記事では、
失敗が怖くなくなる!失敗許容力の身に着け方とその効果
という内容でお伝えしてまいります。
本記事は、
ポジティブ心理学の実務家を育成する社会人スクールの代表である久世浩司さんの著書である
を参考にしています。
本記事を読むことで、
- 失敗許容力とは何か
- 失敗の種類
- 失敗許容力を身に着けるメリット
- 失敗許容力の身に着け方
を知ることができ、
そして、実践することで、
謙虚で成長し続け、他人からも協力してもらえるイノベーター
になることができます。
それでは、確認していきましょう。
失敗許容力とは?
失敗許容力とは、
自分の失敗を認識した際、
失敗したという事実を受け入れ、
その失敗について柔軟に解釈し、
次に活かすことができる力のことです。
失敗の種類
3種類の失敗が存在します。
- 予防できる失敗
- 避けられない失敗
- 知的な失敗
■ 予防できる失敗
不注意や不勉強が原因の失敗。
いわゆるケアレスミスのことです。
多忙や睡眠不足による不注意や、ストレスやプレッシャーで心が疲労している場合に起きやすくなります。
ケアレスミスをした事実を受け入れ、今後同じミスをしないための対策を考え、行動に移していく必要があります。
■ 避けられない失敗
個人的に予防することが難しい失敗です。
自分のコントロールの及ばないところで起きた失敗や、別のところで生じた問題・失敗に巻き込まれてしまうことを指しています。
例えば、
- 決定権がある上司の判断ミスにより、部下である自分が失敗してしまう。
- うまくいっていた経営がコロナの影響で業績が傾いてしまう。
などです。
自分のミスや過失ではない避けられない失敗なのであれば、自責の念を過剰に持つ必要はありません。
不必要に自責の念を強く感じてしまうと、問題解決に必要となる対処の第一歩を踏み出せなくなってしまいます。
自責の念が強すぎて行動できなくなってしまうのではなく、自責の念をあまり感じすぎず次の行動に移せる人になる必要があります。
■ 知的な失敗
歓迎すべき価値ある失敗のことです。
実験的なことをして起こった失敗はその代表例です。
例えば、
- ある製品のプロタイプを作ってみた結果、想定していたより使いにくいことが分かった。
- 健康のために走り始めたが、疲れて仕事に集中できなくなってしまった。
などです。
これらの失敗は決して悪とは言えません。
失敗から学ぶことができるのです。
もっと良いやり方を見つければいいのです。
先ほどの例であれば、
- 使いにくいと感じた部分のデザインを改良しよう。
- 走ることが健康に良いことは間違いないので、走る時間を一旦減らして、睡眠時間を伸ばそう。
というように、
失敗を改善のために必要な1つのステップだと見なせばよいのです。
失敗しなければ、上記のような改善アイデアは思い浮かばなかったはずです。
失敗許容力を身に着けるメリット
メリットとしては、以下の4点です。
- イノベーションを起こしやすくなる。
- 早く失敗した方が効率的な場合もある。
- 謙虚になれる。
- 失敗経験の共有が共感を生む。
■ イノベーションを起こしやすくなる。
挑戦する回数の多さがアイデア・ひらめきを生み出します。
失敗許容力が低く、失敗することを恐れてしまうと、臆病になり行動に移すことができなくなってしまいます。
イノベーションの第一人者であり、デザインコンサルティングファームのIDEOの代表であるデイビッド・ケリーも
イノベーションを起こすには、失敗することに慣れ、失敗に対する恐怖を克服する必要がある
と述べています。
失敗は、自分個人の学習と成長にとって必要不可欠なのです。
本当の失敗は、悪い結果を恐れて挑戦しないことなのです。
■ 早く失敗した方が効率的な場合もある。
失敗した方が早くゴールにたどり着ける、つまり時間を無駄にしないという考え方もあります。
例えば、以下の2つの状況を考えてみましょう。
A:1回も失敗しなかったが、1ヶ月かかった。
B:たくさん失敗したし、たくさん怒られたが、1週間でやり遂げた。
状況によりますが、Bの方が評価されることも多いはずです。
むしろBの方が結果的には良いパフォーマンスを発揮していると言えるのではないでしょうか。
失敗しないために入念に準備したり、勉強したり、悩んだりするよりも、
とりあえずやってみて失敗しながら答えにたどり着くという方法
の方が効率的であり、逆にスマートな場合もあるのです。
■ 謙虚になれる。
失敗経験がなければ、自信過剰になり傲慢になってしまいます。
成功したときは自分のおかげ、失敗したときは他人のせいと考えるようになるのです。
しかし、失敗許容力がある人は、
自分も失敗することが分かっており、また、失敗することを悪いことだと思っていないので、
周りの人に対して、高圧的になったりすることなく、謙虚な態度で接することができるようになります。
人にも物事に対しても真摯に向き合うことができるようになるのです。
■ 失敗経験の共有が共感を生む。
他者の失敗や挫折などの苦境を見聞きする体験は、
オキシトシンという他者に共感を示し、人とのつながりを求めるホルモンの分泌を刺激することが分かっています。
自身の失敗や挫折経験を他者に共有することで、
受け手は他人の失敗から学び、送り手は受け手からの共感・協力・援助を得ることができ、Win-Winの関係になることができるのです。
スティーブ・ジョブズなどの著名人が米国有名大学の卒業式でスピーチする際に、成功体験だけでなく失敗談と教訓を伝えるというのはよくあることです。
失敗許容力の身に着け方
失敗許容力を身に着けるには4つのポイントがあります。
- 成長思考を持つ。
- 運動する。
- サポーターを持つ。
- 失敗する。
■ 成長思考を持つ。
成長思考を持つためのポイントは以下の3つです。
- 脳は使えば使うほど(後天的に)発達すると考える。
- 成長思考の持ち主をロールモデルにする(真似をする)。
- 結果よりもプロセスに注目する。
成長思考(成長マインドセット)については、以下記事でも解説しておりますので、あわせて確認してみてください。
①脳は使えば使うほど(後天的に)発達すると考える。
脳は大人になった後も発達するということが様々な研究から明らかになっています。
②成長思考の持ち主をロールモデルにする(真似をする)。
周りの成長思考の持ち主をロールモデルにしてみてください。
周りにいなければ、歴史上の偉人や著名な経営者には「成長思考」の持ち主が多くいるので、
彼らの伝記や記事などを読んで、彼らの考え方を吸収しましょう。
③結果よりもプロセスに注目する。
結果ではなく、努力・戦略・忍耐力などのプロセスを認め、褒めることで「成長思考」が身につきます。
「自分の能力は変わらないし、もうダメだ、無理だ」
と考えるのではなく、
「勉強の仕方を変えてみよう」
「費やした時間を増やそう」
と考えるようにしましょう。
このプロセス称賛型のコミュニケーションは自身に対して行うだけでなく、職場の後進育成や子育てにおいても活用することができます。
■ 運動する。
心が健全な状態でなければ、自分の失敗を認めたり、改善しようという行動に移すことが難しくなってしまいます。
運動は体を健康にしてくれるだけでなく、自己効力感や自己肯定感を高め、心まで健康にしてくれます。
運動で失敗を許容できる土台を作りましょう。
■ サポーターを持つ。
失敗により、大きなネガティブな感情に包まれてしまった場合には、一人で抱え込まずに信頼できる人に話をしてみましょう。
自分以外の誰かに協力を求めることも大事な失敗許容力の1つです。
自分一人で抱えて何もできなくなってしまうよりも、誰かに相談して少しでも気分が楽になって行動できるようになることの方が大切です。
また、人と話すことで新たな視点に気付くきっかけになることもあります。
■ 失敗する。
失敗したことがないのに、失敗に慣れることはできません。
仕事は特にそうだと言えるかもしれません。
新入社員の頃は特に、失敗したくないという気持ちが大きいものですし、失敗して大きく落ち込むということもよくあるかと思います。
しかし、そういう経験を幾度としていくうちに、何とかなると気づいた方も多いのではないでしょうか。
失敗したら、違う方法を試せば良いのです。あるいは、修正すれば良いのです。
今までやったことがないことをはじめてやって、毎回うまくいく人なんて1人もいません。
どんなに頭が良くIQが高い子供でも「1+1」が2であることを最初から答えることはできません。
大事なのは、「1+1」という問題に出くわし、向き合ったということです。
だからこそ、答えが2だと知ることができるのです。
おそらく失敗の恐怖の根底にあるのは、他人からの目です。
失敗したら、上司から怒られる、親に怒られる、周りからバカだと思われるということを想像して、恐れてしまうのだと思います。
それに対してできる対策は、
他人から見えないところで失敗する
ということです。
事前にやってみる、準備を入念するということが大切だと思います。
それでも失敗することはあるでしょう。
そんな時は、今後うまくいけばそれでよいという思考を持つことも大切です。
そのときは周りからの目が冷たくても、それをプロセスの一部に過ぎないと信じ、引き続き頑張り続けて、いつかうまくいくときが来れば、周りから向けられる目は大きく変わっているはずです。
自分が書いているストーリーを
「私は失敗した」
で終わりにするか、
「私は失敗したが、その後うまくいった」
と書けるようになるまでやり続けるか、
ただそれだけなのです。
まとめ
最後に復習しておきましょう。
■ 失敗許容力とは?
自分の失敗を認識した際、失敗したという事実を受け入れ、その失敗について柔軟に解釈し、次に活かすことができる力
■ 失敗の種類
- 予防できる失敗
- 避けられない失敗
- 知的な失敗
■ 失敗許容力を身に着けるメリット
- イノベーションを起こしやすくなる。
- 早く失敗した方が効率的な場合もある。
- 謙虚になれる。
- 失敗経験の共有が共感を生む。
■ 失敗許容力の身に着け方
- 成長思考を持つ。
- 運動する。
- サポーターを持つ。
- 失敗する。
—最後に—
どうだったでしょうか?
本記事では、失敗許容力についてまとめてみました。
失敗を恐れることは決してなく、失敗にはメリットがたくさんあるのです。
失敗しないことこそが、失敗である。
これは失敗しろということではなく、挑戦したいと思ったことは挑戦しよう
ということであり、
その挑戦の過程のどこかで失敗してしまうのは、誰であれ起こりうることなのだと教えてくれているのです。
天才は失敗しない、成功者は失敗しない
というのは真実とは言い難く、
最終的に成功した(失敗もありながらも成功するまで継続した)に過ぎないと捉える方が適切な可能性は高いのです。
最後に、あまりにも有名なトーマス・エジソンの言葉を記載して終わりとします。
私は失敗したことなどない。うまくいかない1万通りのやり方を見出したのだ。
失敗許容力を身に着けて、良い人生にしていきましょう!