『頼み事をするのは気が引ける』
『助けが必要だけど、助けを求めてもきっと断られるだろう』
『頼み事をされたら相手は嫌がるに違いない』
という風に思っている方多いと思います。
実は、頼み事はそれほど断られるものではなく、頼まれる側もそれほど嫌だと思っていないのです。
ということで本記事では、
頼み事をして評価アップ!?頼み事をすべき理由とうまくいく頼み方
という内容をお伝えしていこうと思います。
本記事の内容は
コーネル大学のバネッサ・K・ボーンズ准教授のハーバード・ビジネス・レビューに掲載されている記事を参考にしています。
本記事を読むことで、
- 人が頼み事を躊躇する理由
- 頼み事を遠慮する必要がない理由
- うまくいく頼み方
を知ることができ、
そして、実践することで、
頼み事や助けを求めることに対する思い込みをなくし、正しく頼み事をすることができるようになることで、仕事を円滑に進めることができる
ようになります。
逆に、実践しなければ、
頼み事や助けを求めることに躊躇し、頼むか頼まないかの無駄な悩み・ストレスをうむとともに、物事を前に進めることができなくなってしまいます。
それでは、確認していきましょう。
人が頼み事を躊躇する理由
大きく以下の3つの理由が考えられます。
- 「助けを求めると印象が悪くなる」と思い込んでいる。
- 「助けを求めても、きっと断られる」と思い込んでいる。
- 「助けてくれたとしても、喜んでそうしているわけではない」と思い込んでいる。
■ 「助けを求めると印象が悪くなる」と思い込んでいる。
助けを求めることは、自分が無能で弱い存在であることを自ら証明しているように感じ、不安になってしまうのです。
自分の評価を下げるくらいなら、黙っていた方がマシだと思い込んでしまっているのです。
■ 「助けを求めても、きっと断られる」と思い込んでいる。
助けを求められた人は面倒に思うだろうし、その人も自分のやらないといけないことで忙しいはずだと思ってしまうのです。
どうせNOと言われるなら黙っておこうという思考になるのです。
■ 「助けてくれたとしても、喜んでそうしているわけではない」と思い込んでいる。
助けを求めて、仮にYESという返事がもらえても相手の迷惑になってしまう、と思ってしまうのです。
喜んで引き受けてくれる人なんているわけがないと思っているのです。
頼み事を遠慮する必要がない理由
上述の、人が頼み事を躊躇する3つの理由に照らし合わせながら、頼み事を遠慮する必要がない理由について考えてみましょう。
1.「助けを求めると印象が悪くなる」と思い込んでいる。
助けを求めた際の周りからの評価について調べた調査によると、
・簡単な仕事で助けを求めた場合
助けを求めた人の能力に対する周囲の評価に悪影響はありませんでした。
・難しい仕事で助けを求めた場合
助けを求めた人の能力に対する周囲の評価はなんと、上昇したのです。
つまり、助けを求めることで印象が悪くなるというのは誤解であるばかりか、場合によっては、助けを求めることで自分の評価を上げることもあるのです。
確かに、助けを求めると、弱さや能力の限界を露呈する可能性があるのは事実ですが、だからといってネガティブな判断を下される可能性は、自分が思っているよりも低いものなのです。
2.「助けを求めても、きっと断られる」と思い込んでいる。
どれだけの人が実際に手伝ってくれ、どれだけの時間を割いてくれるのかについて被験者に予想してもらう実験を実施したところ、
手伝ってくれる人の数も時間も被験者が予想した値よりも大きな値になったのです。
つまり、自分が思っている以上に多くの人が手を貸してくれるとともに、
手を貸してくれた人は、自分が思っている以上に多くの労力をかけてくれる傾向があるのです。
また、実際に断られたとしても、それは単に状況がそうしたに過ぎないのです。
ネガティブになる必要も余計なことを考える必要も全くないのです。
時間を変える、頼む人を変えるなど状況を変えて再度お願いすると、結果が変わる可能性が高いということも研究で明らかになっているので、改めて頼んでみるべきなのです。
3.「助けてくれたとしても、喜んでそうしているわけではない」と思い込んでいる。
実際のところ、助けた側は誰かを助けることによって「ウォーム・グロー」と呼ばれる満足感や誇らしさを感じ、良い気分になっているのです。
ボランティア活動をした際に、感じる充足感のようなものに近いかもしれません。
つまり、助けた側にもメリットがあるのです。
そのことを依頼する側も知っておくことが大切です。
また、助けを求める側と助けてあげる側の両方にもたらされるもう一つのメリットは、
人とつながっているという実感です。
募金や寄付のする側とされる側のように、直接的に人と人のつながりがないものよりも、はるかに満足度が高くなるのです。
うまくいく頼み方
以下の4つが相手からYESを引き出すうえで重要なポイントになります。(交渉術とも言えます。)
- まずは頼んでみる。
- 直接的な言葉で伝える。
- 1度断られた人にも、再度頼んでみる。
- お返しは必要ない。
人は自分の影響力の大きさや意見について、誤った思い込み、つまり
上司は私の意見なんてどうせ聞いてくれない、それどころか反感を買ってしまうに違いない、という思い込みをしているのです。
しかし、現実はその思い込みほどは厳しくなく、シンプルで率直な依頼は、私たちが思うよりもはるかに有効なのです。
■ まずは頼んでみる。
断られるのではないか、気分を害するのではないかというネガティブな気持ちになり、
実際に行動に移すのに勇気がいることが多いですが、頼んでみましょう。
頼んでみないと結果はわかりませんし、うまくいくことも多いのです。
■ 直接的な言葉で伝える。
間接的な言い方で頼む方が相手に失礼な印象を与えず、依頼を同意してもらえる可能性が高まると思っている人が多いと思いますが、
人は率直で直接的な依頼に対して、より前向きな反応を示すという研究結果が存在します。
つまり、具体的には
「今週は仕事が多くてきつい一週間になりそうだ。誰か力を貸してくれたらな、、」
よりも
「○○さん、今週、仕事に余裕があったら、手伝ってもらえないかな?」
と言ったほうが良いというわけなのです。
■ 1度断られた人にも、再度頼んでみる。
以前、頼み事を断られたことがある人には頼むべきではない、という意見に対しても多くの人が賛成すると思います。
しかし、この多くの人がしている思い込みは必ずしも正しくないことが研究で明らかになっています。
実際には、1度あなたの頼みを断った人はそのことに罪悪感を感じているため、次の依頼にはYESと答える可能性が高い場合もあるのです。
■ お返しは必要ない。
依頼に応じてくれた相手に対し、何かお返しをする必要があると考えがちです。
いわゆる返報性の原理です。
しかし、実際には、
人は他者をの役に立ったという事実に心地良さを感じるため、報酬の有無にかかわらず応じる傾向があるのです。
まとめ
最後に内容をまとめておきましょう。
■ 人が頼み事を躊躇する理由
- 「助けを求めると印象が悪くなる」と思い込んでいる。
- 「助けを求めても、きっと断られる」と思い込んでいる。
- 「助けてくれたとしても、喜んでそうしているわけではない」と思い込んでいる。
■ 頼み事を遠慮する必要がない理由
●周囲からの評価
・簡単な仕事で助けを求めた場合
助けを求めた人の能力に対する周囲の評価に悪影響はない。
・難しい仕事で助けを求めた場合
助けを求めた人の能力に対する周囲の評価は上昇した。
●断られる確率
自分が思っている以上に多くの人が手を貸してくれるとともに、
手を貸してくれた人は、自分が思っている以上に多くの労力をかけてくれる傾向がある。
また、仮に断られても、時間を変える、頼む人を変えるなど状況を変えて再度お願いすると、結果が変わる可能性が高い。
●依頼された側の感情
助けた側は誰かを助けることによって、「ウォーム・グロー」と呼ばれる満足感や誇らしさを感じ、良い気分になっている。
つまり、依頼した側と依頼された側はWin-Winの関係であると言える。
■ うまくいく頼み方
- まずは頼んでみる。
- 直接的な言葉で伝える。
- 1度断られた人にも、再度頼んでみる。
- お返しは必要ない。
—後書き—
どうだったでしょうか?
本記事を読む前より気楽に頼み事をできると思うようになった方も多いと思います。
筆者自身も実際、少し気分が楽になりました。
忙しそうにしている上司に分からないことを聞いたり、レビューをお願いしたりするのは誰でも気が引けるものだと思います。
しかしながら、逆の立場(自分が上司、お願い事をされる側)を経験された方ならお分かりいただけると思いますが、
自分がお願い事をされたとき、自分が誰かにお願い事をするときに思っているほど、嫌な思いになることはないと思います。
逆に、自分の見落としていたポイントに気づかされて、感謝したという経験がある方もいらっしゃると思います。
バネッサ・K・ボーンズ准教授の記事を読んで、そのことに気づくことができました。
ただ、お願いごと・助けを求めることに躊躇する必要はありませんが、闇雲にすれば良いというわけではありません。
また、相手への気遣いが不要というわけではありませんので、その点は心がけるようにしていきましょう。
最後にウォルト・ディズニーの名言をご紹介して終わりとします。
All you’ve got to do is own up to your ignorance honestly, and you’ll find people who are eager to fill your head with information.
正直に自分の無知を認めることが大切だ。そうすれば、必ず熱心に教えてくれる人が現れる。
それでは、困ったときは適切に周りに助けを求めて、良い人生にしていきましょう!
■ 出典
ハーバード・ビジネス・レビュー